第4回 「検査値をどう読むか-2」
前回は血糖値と尿糖について、お話をしました。今回は、皆さんがよく目や耳にする、「ヘモグロビンA1C」 についてみてみましょう。
1 :ヘモグロビンA1C
体を流れる赤い血、赤血球といいます。この中心にヘモグロビンという、酸素の運び屋がいます。血管の中で、赤血球(ヘモグロビン)とブドウ糖はお隣さん同士、仲良くくっついたり、離れたりしていますが、長い時間がたつと、ヘモグロビンにブドウ糖がくっついたままになります。このブドウ糖が結合した状態のヘモグロビンをヘモグロビンA1Cと呼びます。
ヘモグロビンA1Cは、受診前 1 〜 2 ヶ月の血糖コントロール状態をよく反映します。これは赤血球の寿命(約3か月)に関係しています。血糖コントロールがよくなると、ブドウ糖と結合したヘモグロビンは3ヶ月間かけてゆっくりと減っていきますから、ヘモグロビンA1Cが低くなってくるのは 1 〜 2 ヵ月後になります。
血糖コントロールが悪い場合、ヘモグロビンA1Cが高くなるのは 1 〜 2 ヵ月後。「パーティーで食べ過ぎた」、とか「 2-3 日だけがんばって運動した」といった、短期の血糖値の変動にとらわれない安定した評価が期待でき、継続的な治療への取り組み指標として有効です。
糖尿病学会では、5.8%未満を優、5.8〜6.5%を良、6.6〜7.9%を可、8.0%以上を不可に設定、治療目標として紹介しています。
健常人のヘモグロビンA1Cは 4.3 〜 5.8 %。血糖値が高いと、ブドウ糖とヘモグロビンの出会う割合が増えるので、ヘモグロビンA1Cの数字が上昇します。ヘモグロビンA1Cが 6.5 %以上であれば、糖尿病とほぼ診断できるとされています。
また、検診で高血糖やヘモグロビンA1C上昇を指摘されたときには、すでに数年間にわたって、糖代謝異常が始まっています。糖尿病診断検査である糖負荷テストでの、診断基準値(空腹時血糖 126mg/dl 、2時間値 200mg/dl )に相当するヘモグロビンA1Cは、 6.1 %であるといわれています。
検査で正常範囲(〜 5.8 %)を越えるようなら、早めに医療機関へご相談いただきたいと思います。糖尿病になる手前で異常を発見し、病気への進行を予防する、これが一番大切なことだと考えています。
当クリニックでは、ヘモグロビンA1Cを、クリニック内で測定、外来診察中にご報告しています。治療への取り組みの結果がその場でわかります。次回診察まで結果を心配する必要がありません。測定は信頼性の高い HPLC 法。大病院と同じ精度です。
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