「院外実習を終えて」
藤田保健衛生大学 加藤 一朗
今回、私が院外実習でお世話になったのは『わたなべ内科クリニック』糖尿病を専門にする内科診療所です。 初日の朝、緊張して診療所に入ったのですが、渡辺先生は大変親切に接してくれました。最後までとても気持ちよく実習期間を過ごせたのは、先生とスタッフの方々のおかげです。 先生は診療でお忙しい中から、多くの時間を割いてくださりました。 診察の技術面や、診療所のシステム、仕事の流れ、医師としての志や、ヴィジョンなど、幅広くご指導いただきました。病気を見ていく中で一人の患者さんのストーリーを考えるという事を学びました。実際の臨床に触れる中で、講義や教科書で学んだバラバラな知識が、整理されひとつの流れを持たせることができたようにも感じました。 印象的だったのは、先生と『わたなべ内科クリニック』の医療へ取り組むスタンスです。 糖尿病の専門的な医療というと、透析や網膜症のレーザー治療などを考えがちですが、それらは病状が悪化した結果の最終手段であることが大半です。 早期の診断から、長期に渡って適切なフォローをし、病状の進行を防ぐ防衛線としての役割。そのために患者さんとの良好な信頼関係を築く。専門的なノウハウを集中的に注ぎ込み、治験などの新しいことにも参画する。これは、疾患をもった人のQOL、または医療経済や統計学的な面からも、大変重要な役割です。とても一貫した明確なヴィジョンが前提にあり、それを日々の診療の中で体現しているのだと感じました。 先生の患者さんと接する姿も、記憶に鮮明です。どんな話でも患者さんの話すことに耳を傾け、不安や苦しみを和らげようという姿勢は常に変わりません。 患者さんの中には、生活や服薬の指示を守ってくれない方もみえます。そういう状況でも、決して投げ出すことなく、高圧的になることも無く、根気よく励ましながら、よりよい方向へ持っていけるよう最善を尽くす。患者さんの自発的な努力も重要な診療科なだけに、とても重きを置いているようでした。診察を終えた患者さんたちが、皆さん一様に満足した笑顔で帰っていかれるのが、とても印象的でした。プロフェッショナリズムを感じ、また自分もそうありたいと強く感じた点でした。 今回の実習で経験した一週間は、将来、自分が医師としてやっていくうえで、とても貴重なものとなりました。渡辺先生とスタッフの方々に、心より感謝し、お礼申し上げます。 ありがとうございました。