「プライマリ・ケア実習を終えて」
愛知医科大学医学部医学科5年 笹島 裕史
回私は、わたなべ内科クリニックでプライマリ・ケアを1日体験させていただきました。 わたなべ内科クリニックを訪れた最初の印象は、とても清潔感があり綺麗な病院であるということでした。 まず初めに私は、院長先生に病院のトイレ掃除を指示されました。通常は、受付の事務の方の日常業務だそうですが、おそらく個人病院では大学病院と比べて同じ場所で働く看護師や管理栄養士、治験コーディネーターを含めた医療に携わるスタッフ全員がより身近にいて、協力し合い患者さんに最高の医療を全員で提供していることを実感させるためだったと感じました。 また、わたなべ内科クリニックでは治験が行われていて驚きました。治験というと大学病院のような規模の大きなところが行うものとばかり思っていたためです。 なぜ院長先生は治験を行うのか聞いてみると、現在存在する糖尿病薬では現在行われている治療が最善でそれ以上の治療ができないためだと言われました。先生のお話を聞いていると、先生はいつも将来の医療に目を向けていると感じ尊敬しました。 さらに、院長先生の配慮から問診を二人の患者さんからとらせていただきました。主に患者さんの生活習慣と食事についてお話を聞かせていただきました。 問診の際、大学病院と違った点がありました。それは、大学病院では初診をとったということもありますが、あまり患者さんが私に心を開いて話してはくれていないように感じました。 それは当然で、私と患者さんとの信頼関係はそれまではなくその時初めてであり患者さんも不安だからだと思いました。しかし、今回は患者さんが問診の始めから私に生活や食事のことを次から次へと話してくれました。 私にとっては初めての患者さんでしたが、院長先生との間でしっかりした医師-患者関係が構築されていたからだと感じました。 実習をする前、私はプライマリ・ケアに対して漠然とした印象(地域の患者さんがまず行く病院、大学病院は待ち時間が長いためそれが嫌で行く病院など)しかありませんでした。しかし、今回の実習を終えて私の漠然とした間違った印象は生き生きとした印象にすっかり変わっていました。 この印象の変化は、わたなべ内科クリニックの院長先生によるものだと実感しました。実習が始まる前、私も地域の病院には何度かお世話になったことはありますが、正直それほど印象には残っていませんでした。しかし、院長先生は診察前に予約で入っている全ての患者さんの検査に対するプランを立て、患者さん一人ひとりに対して目を向けられていました。 診察に対しても同様で、全ての患者さんに適切な言葉使いと温かみのある言葉をかけられており患者さんに対する気遣いが素晴らしいものでした。診察の合間に「なるべく患者さんの話を聞いてあげたい」、「何か人の役にたてることがしたいと昔から思っていた」などとおっしゃられていました。 最後に、院長先生が考える医療構想についてのお話をしていただき、その中でも「栄地下でカフェしながらクリニック」という診察はとても考え深いものでした。他にも、現代は健診が昔と比べ盛んであり、健診に引っかかる人は多いため合併症をなるべく起こさないように予防医学の大切さを医療費の問題を含めて院長先生にお話していただきました。今回の実習は、院長先生の人柄のおかげで一日の短い実習が密度の濃い実習になりました。 最後に、実習を通して親切にしてくださった先生方や他のスタッフの方々、問診にご協力いただいた患者の皆様に深く御礼申し上げます。本当に有難うございました。